【主張】
首相所信表明 「明日への責任」は解散だ
2012.10.30 03:18[主張]
首相は「明日への責任」を繰り返し、経済対策や東日本大震災の復興、社会保障制度改革国民会議の設置など、懸案を先送りしない「決断する政治」の重要性を強調した。だが、実現の具体策を明示できないようでは、政権を担う正当性や資格に疑念を持たざるを得ない。
政権延命のためだけに首相の座にしがみつくのなら、無責任の極みだ。一刻も早く解散・総選挙を行うことこそ、野田首相が掲げる「決断する政治」であり、「明日への責任」の取り方である。
首相は「領土・領海を守るという国家としての当然の責務を、国際法に従って、不退転の決意で果たす」と述べた。だが、国民が聞きたいのは、一般論ではない。国難にどう備え、いかに立ち向かうかの具体策だ。国民に理解と覚悟を求めることこそ、最高指導者としての責務ではないのか。
首相は「現下の最大の課題」として経済再生を挙げた。だが、処方箋には抽象論が並び、日中関係の冷え込みなど具体的な懸案にどう対応するかは示していない。
所信表明演説からも、野田政権に諸課題をやりこなすエネルギーが残っているとは思えない。国政の停滞を避けるためにも、首相は「近いうちに信を問う」という約束から逃げてはならない。