nk2367nkの日記

覚え書きです。

今日のコラム


9月8日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)

不景気に強い経営

 好況時には少々の不勉強であっても、サービスが不十分であっても、まあどこでも注文してくれます。だから経営の良否というのはそう吟味されなくてすみます。

 ところが不景気になってくると、買う方は、十分に吟味して買う余裕がでてきます。そこで、商品が吟味され、経営が吟味され、経営者が吟味されて、そして事が決せられることになるわけです。ですから、非常にいい経営の下に、いい人が行っている会社や店は、好景気にはもちろん結構ですが、不景気にはさらに伸びるということになる。そのことを事業にたずさわる者としては、日ごろ常に心にとめておかなければならないと思います。



筆洗

2013年9月7日筆洗(東京新聞TOKYOWeb)

宮崎駿監督はスタジオジブリのスタッフに、こんなことを言ったことがあるらしい。「もしジブリ倒産ということになったら、最後に『となりのトトロ2』をつくってみんなでお金を分けようね」

▼倒産は困るが、トトロの続編はぜひ見たい。しかし、それはかなわない。作家の半藤一利さんとの対談『腰ぬけ愛国談義』(文芸春秋)で、宮崎さんは言っている

▼トトロは「雑草という草はない」という昭和天皇の言葉のように、雑草一本まで日本の自然を描いた作品。「それがもう、描けないんです。いまの人間たちには描けない…緑はもうあの頃の緑と違う色ですから」

▼乱開発されて、ウマオイの声すら消えつつある自然。経済大国といいつつ、さまざまな形の貧しさを抱え込むこの国の姿に怒りつつ、宮崎さんは「子どもたちにこの世は生きるに値することを伝える」ため、名作を送り出してきた

▼きのうの引退会見で宮崎さんは、敬愛する作家として、英国の児童文学者ロバート・ウェストールの名を挙げた。その作品集『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)を自ら編んだ監督は、作家との架空の邂逅(かいこう)を漫画にした

▼宮崎さんはウェストールに語りかける。「あなたの作品には、このムゴイ世界と戦いつづける勇気と、失われたものへの愛惜にみちています。すてきです」。この言葉を、そのまま宮崎監督に贈ろう。



2013年9月8日天声人語(OCN*朝日新聞デジタル

天声人語

▼黒(くろ)歴史」という言葉を最近知った。人に言えない、知られたくない過去、なかったことにしたい失敗などをいう。もともと人気アニメで使われていた用語が、意味を転じつつ俗語として広がったらしい

▼前の恋人の写真を保存していて今の恋人に見られてしまう。その種の不都合な情報も黒歴史と呼ばれる。どんな愚行や醜態も、心の記憶に留(とど)まるなら、時に襲う胸の疼(うず)きに耐えればすむ。しかし、それがネット上に一度(ひとたび)拡散したら大変である

▼アルバイト先などでの悪ふざけ写真をソーシャルメディアに投稿し、騒ぎになる例が相次ぐ。今度の舞台は餃子(ギョーザ)の有名チェーン。金沢市の店で、数人の裸の男性客がカウンターに並ぶ画像が公開されてしまった。会社は「公序良俗に反する不適切な行為」を防げなかったとおわびした

▼コンビニ、宅配ピザ店、ハンバーガー店と、よくもまあ類似のことが続くものだと呆(あき)れる。よくないことと知ってか知らずか、ウケを狙うあまり逸脱に及んだのだろう。それが大っぴらになったらどうなるか、頭を働かせた形跡はない

▼会社は会社でイメージダウンが怖い。謝罪や閉店といった対応を急ぐ。処分がいささか厳しすぎないかという声も上がり、議論が広がっている。当の若者らはどんな心境で事の次第を見守っているのだろう

▼わが青春も顔から火の出る思い出に事欠かない。ふざけすぎてしくじりもした。おのれの苦い黒歴史を咀嚼(そしゃく)し、反芻(はんすう)する。思えばそれが、大人になるということか。