nk2367nkの日記

覚え書きです。

今日のコラム


8月4日松下幸之助一日一話(松下幸之助.COM)

もっと厳しく

 昔の武士は朝早くから道場に出て血のにじむような稽古にはげんだという。そして師範や先輩たちの木刀を身にあびながら、何くそと立ち向ううちにおのずと腕も上達していった。また商人であれば、丁稚奉公からつとめはじめ、主人や番頭に横っ面の一つも張られながら、おじぎの仕方からものの言い方まで一つ一つ教えられつつ、商人としてのものの見方、考え方を養っていったわけである。

 もちろんそのような修業の過程には、好ましくない面もあったであろう。しかし、少なくともそうした厳しい修業が人を鍛え、その真価を発揮させる上に役立ったと思う。それは今日にも通用することであろう。




2013年8月4日天声人語(OCN×朝日新聞デジタル

天声人語

▼台所にアリが出て困る。どうしたらいいでしょうと女性に聞かれて、アリ研究の権威が答えたそうだ。「足を下ろすときは慎重に」。これほどアリの身になった助言をする人は、めったにいないだろう。米国の昆虫学者が書いた『虫と文明』(築地書館)という本にあった愉快な話である

▼日本でも、お坊さんの中には、殺生を少しでも避けようと下駄(げた)を履く人がいる。接地面の広い草履(ぞうり)は虫を踏みつける可能性が大きいからだという。そこまでの慈悲心は持てないけれど、拙宅にも大目にみている虫がいる

▼毎年恒例の柚子坊(ゆずぼう)がこの夏もお出ましになった。柑橘(かんきつ)類の木に居つくアゲハチョウの幼虫のことだ。まるまる太るのと引きかえに枝葉はぼろぼろだが、つまんで捨てずに見守っている

▼今年はなぜか数が多く、鉢植えのユズを1本買い足した。初めは黒っぽい幼虫は、やがて葉っぱと見まがう保護色に変わる。そうやって天敵の鳥から身を守り、堂々のメタボ体形に育っていく

▼夏休み、柚子坊の変身物語を自由研究に選んだ子もいようか。子どもの「生きもの離れ」が言われる中、虫と親しむ好季節だ。好かれる虫もそうでない虫も、多彩な命をひしめかせる

▼アリに戻れば、1匹1匹を数字の3と見て行列を「33333……」と表したのは仏の作家ルナールだった。歌人与謝野晶子は「8、8、8、8……8の字の生きた鎖」と見た。地面に砂糖を少しこぼしておけば、お目にかかれる。ただし足を下ろすときは慎重に。